<ゼクルス®>は、生物処理槽・汚泥減容槽・沈殿槽(または浸漬膜槽)の3つの槽から構成されます。特長は微生物がたくさん棲みつく<クラゲール®>の槽を最初の槽に組み込んでいる点です。<クラゲール®>は生物親和性の高いポリビニルアルコール((株)クラレのポバール)を原料にした微生物固定化担体です。表面から内部にわたって20μmほどの小さな穴が無数に空いていて、<クラゲール®>1個あたり約10億個もの微生物が棲むことができます。そして、空気を送って<クラゲール®>自体を流動させて、内部の微生物に排水を処理させます。このように、<クラゲール®>にはたくさんの微生物が棲むことができるので、結果として排水処理能力を高め、設備をコンパクトにすることができます。従来の生物処理槽の5分の1の省スペースで有機物の分解効率を上げることができるのです。
一般的な余剰汚泥を削減するシステムとして、機械的分解法・熱分解法・電気分解法・オゾン分解法等がありますが、これらの場合、発生した汚泥を再処理する為に多くのエネルギーが必要になります。しかし、当社汚泥減容システム<ゼクルス®>は微生物の自己酸化を利用して余剰汚泥発生そのものを抑えるシステムですので、省スペース、省エネルギー化が可能になります。当社<ゼクルス®>には、<ゼクルス®>Type-Sと<ゼクルス®>Type-Mの2種類のラインアップがあります。
- 用途
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- 化学排水
- 食品排水
- 液晶・半導体排水ほか
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生物処理のしくみ
生物処理とは自然の浄化作用のメカニズムを利用した技術であり、排水中の汚れ成分(=溶解性有機物成分)を微生物がエサとして食べて分解・除去することで、排水処理を行うシステムです。
活性汚泥法(生物処理の主流)
過剰に増殖した微生物(余剰汚泥)の処理が費用面・環境面で問題になっている。
従来の生物処理法は「活性汚泥法」という方法が主流でした。これは、微生物を排水中に浮遊させて、排水中にたくさんある有機物(BOD成分)をエサとして食べさせて水をきれいにし、その後、微生物を沈殿させて取り除くという方法です。しかし、うまく微生物を沈殿させるには、排水量に対して適切な微生物濃度があるため、排水量が2倍に増えると、排水処理設備も2倍に増やさなければいけないという難点がありました。さらに、大量に発生する過剰増殖した微生物(=余剰汚泥:除去BOD量の約50%)を産業廃棄物として処理(埋立て・焼却)しなければならず、排水処理費用の約半分がこの余剰汚泥処分にかかっており、費用面・環境面からクローズアップされています。
設置例
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<ゼクルス®>Type-S
<ゼクルス®>Type-Sとは、「クラゲール槽」、「汚泥減容槽」、「沈殿槽」から構成されております。大きな特色として、クラゲール槽にて微生物固定化担体<クラゲール®>(PVAゲル)を、好気条件下の下で流動させることにより排水中のBOD成分の大部分を処理し後段の汚泥減容槽で、バクテリア類を飢餓状態にすることで、汚泥増殖速度と自己酸化速度を同じになるようにコントロールし、余剰汚泥の発生を抑えます。次に沈殿槽では、沈殿分離を行うことで、上澄水と、沈殿汚泥に個液分離いたします。また、沈殿した汚泥は、汚泥減容槽にリターンします。沈殿槽を用いることで、固液分離のエネルギーコストが少なくてすみます。
<ゼクルス®>Type-M
<ゼクルス®>Type-Mとは、「クラゲール槽」、「汚泥減容槽+MBR」から構成されております。大きな特色として、クラゲール槽にて微生物固定化担体<クラゲール®>(PVAゲル)を、好気条件下の下で流動させることにより排水中のBOD成分の大部分を処理し後段の汚泥減容槽では、バクテリア類を飢餓状態にすることで、汚泥増殖速度と自己酸化速度を同じになるようにコントロールし、余剰汚泥の発生を抑えます。また汚泥減容槽では、槽内にMBRユニットを設置しておりMBRにより固液分離を行なうことで、清澄なろ過水を得ることが出来、処理水は再利用することが出来ます。
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生物処理槽はゲル槽を設けることでコンパクトになる。
ゲル槽で発生する余剰汚泥を汚泥減容槽で減量させる。
汚泥減容槽では、微生物のエサである有機物濃度を低く制御することで微生物自身の自然分解力が促進され、ほとんど余剰汚泥を引き抜く必要がありません。活性汚泥槽に生息する微生物は、有機物を分解する細菌類以外に、その細菌類をエサとして食べる原生動物・後生動物が多く存在しています。一方、<クラゲール®>に生息する微生物は細菌類が主体であるため、活性汚泥に比べ微生物自身の自然分解力(汚泥消滅速度)が4倍以上高くなります。その結果、ほとんど引き抜く必要がないレベルまで余剰汚泥を削減できます。他社の汚泥減容システムのように、オゾンや大量の薬品を使用して汚泥の減量を図る必要がないことから、設備投資やランニングコストが軽減されます。
汚泥と水を分離し、水の回収再利用を可能にする。
最終的に汚泥減容槽の汚泥(固体)と水(液体)を分離することで浄化された処理水が得られます。これを固液分離といいます。<ゼクルス®>の固液分離方式には、汚泥を自重により自然沈降させる沈殿槽方式<ゼクルス®>Type-Sと槽内に沈めたろ過膜(浸漬膜)を通して吸引ろ過するMBR方式<ゼクルス®>Type-Mがあります。
特に、<ゼクルス®>Type-Mでは、中空糸膜とよばれる、表面に微細な穴がたくさん空いたストロー状の膜を用いて固液分離するため、コンパクトな設備で、濁り成分がほとんどない清澄な処理水が得られ、水の回収再利用が可能です。